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学習帳

DRMの変調波について調べてみた

はじめに

DRM(Digital Radio Mondiale)は北朝鮮でも導入されているデジタルラジオ放送システムです。

北朝鮮からのDRM放送は2016年頃には確認されており、2023年頃までは朝鮮の声放送や朝鮮中央放送の内容を高音質で送信していました。 しかし2024年頃から、廃止された平壌放送の中波の周波数なども使い《조선중앙제2라지오방송》(朝鮮中央第2ラジオ放送)なる局名で音声としては復調不可能なデータを放送するようになり、その詳細は今も謎に包まれたままとなっています。

本記事では、そんなDRM放送の技術仕様のうち、変調波について具体例を交えながら説明します。 まずはDRMについて簡単に説明し、次いで時間軸で見たDRM波のフレーム構成を図示します。 さらに、周波数軸で見たDRM信号について説明した後で、時間・周波数の2軸で見たDRM信号の中身セル構造)を、1 OFDMシンボル・1サブキャリア単位でアスキーアート(AA)で図示することがゴールです。

DRMの基本

Udungpulで初めてのDRM関連の記事ということもあり、まずはDRMの基本について説明します。

DRMとは何か

DRMは300MHz以下の周波数帯向けのデジタルラジオ放送の方式であり1、その技術仕様は欧州電気通信標準化機構(ETSI)によって標準化されています2

雑音が混じらないクリアな音声で聴けること、局名や番組情報も伝送できることなど、アナログ方式にない特徴を有しています。

受信方法

DRM放送は通常の短波ラジオだけでは受信できませんが、誰でも遠隔で操作できるWebSDRを利用すれば、受信設備がないという方でも受信体験を味わうことができます。

私もまだ受信設備がないため、各地のWebSDRを使って受信させていただいております。

伝送モードと帯域幅

(注:これ以降の内容はETSIで標準化された規格2(以下「規格」)をベースに執筆していますが、私の誤解が含まれている可能性があります。正確な記載は規格の原文をご確認ください。)

規格では、周波数帯や伝搬環境に応じたA~Eの5段階の伝送モード(原文ではrobustness mode)が定義されており、モードに応じて最大で6種類の帯域幅(厳密には帯域幅を決定づけるspectrum occupancy)を選択することが可能です。

短波帯や中波帯など、30MHz未満の周波数帯向けにはモードA~Dが、VHF帯向けにはモードEが用意されています。

例として、短波3205kHzや6140kHzで放送されている「朝鮮中央第2ラジオ放送」はモードB・帯域幅 10 kHz(spectrum occupancy=3)で送出されています。

OFDM

DRMはWi-Fiや地デジ放送でも使われているOFDM(直交周波数分割多重)変調を使用しています。

OFDMはデータを周波数の異なる複数の搬送波(一般にはサブキャリア、規格では単にキャリアと呼称)に束ねて伝送する技術です。

DRM波は、デジタルデータをQAM(直交振幅変調)で変調(一次変調)した後、OFDMで二次変調することによって生成されます。

詳細は後述しますが、(サブ)キャリア間隔(隣り合うキャリアの周波数間隔)はモードによって、(サブ)キャリア数モードと帯域幅の選択によって決まります。

(サブ)キャリア間隔はモードA→B→C→D→Eの順に広くなり、(サブ)キャリア数は帯域幅が広いほど多くなります。

DRM波が伝送する3系統のデータ

DRM波は次の3系統のデータを、決められたタイミング・決められたキャリアで送信しています。

  • FAC(Fast Access Channel)
    • 一次変調の方式(4QAM/16QAM/64QAM)、放送言語、番組ジャンル、音声/データフラグなど
    • 最も優先度が高く、最もデータ量の少ない系統
  • SDC(Service Description Channel)
    • 局名、音声コーデック(AAC/xHE-AAC)、サンプリングレート、モノラル/ステレオ、日時など
  • MSC(Main Service Channel)
    • メインコンテンツである音声またはデータ

ではどのタイミング・どのキャリアで何を伝送しているのか、それを以降で説明します。

時間軸で見たDRM信号のフレーム構成

DRM波を時間軸で見ると、「OFDMシンボル<伝送フレーム<スーパーフレーム」の構成となっています。 すなわち、複数のOFDMシンボルが集まって伝送フレームとなり、複数の伝送フレームが集まってスーパーフレームとなります。

  • OFDMシンボル
    • OFDMでデータを伝送する際の時間的な最小単位
    • 各(サブ)キャリアの波を足し合わせたものを1 OFDMシンボルと呼ぶ
    • 具体的な長さ TsT_\mathrm{s} はモードに依存
      • モードBの場合は約 26.67 ms
  • 伝送フレーム(transmission frame)
    • 長さは Tf=400msT_\mathrm{f}=400\,\mathrm{ms}(モードEのみ100ms)
    • 内包されるOFDMシンボル数 NsN_\mathrm{s} はモードに依存
      • モードBの場合は15
  • スーパーフレーム(transmission super frame)
    • 3伝送フレーム(モードEのみ4伝送フレーム)を1スーパーフレームとする
    • 冒頭の2~5個のOFDMシンボルでSDCを送信し、他のOFDMシンボルでMSCとFACを送信する

詳細なOFDMパラメータはモードによって決まります。 例としてモードBの場合は下表のとおりです。

パラメータ値(モードB)備考
TuT_\mathrm{u}21.33 ms1 OFDMシンボルのうち有効部分の長さ
TgT_\mathrm{g}5.33 ms1 OFDMシンボルのうちガードインターバル(GI)3の長さ
TsT_\mathrm{s}26.67 ms1 OFDMシンボルの長さ(Ts=Tg+TuT_\mathrm{s}=T_\mathrm{g}+T_\mathrm{u}
TfT_\mathrm{f}400 ms1伝送フレームの長さ
NsN_\mathrm{s}151伝送フレームあたりのOFDMシンボル数(Ns=Tf/TsN_\mathrm{s}=T_\mathrm{f}/T_\mathrm{s}

上の表の各パラメータの関係を整理すると、時間軸で見たDRM信号のフレーム構成図を描くことができます。

下のAAが示しているのは、モードBのDRM信号の1スーパーフレームの構成です。

|<- 1200ms (Tx.super frame) ->|
|                             |
+-+-------+---------+---------+
|S|  MSC  :   MSC   :   MSC   |
|D|-------: ,-------: ,-------|
|C|  FAC  : |  FAC  : |  FAC  |
+-+-------+---------+---------+
__________/         \__________
|                             |
|<--- Tf=400ms (Tx.frame) --->|
|                             |
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
| | | | | | | | | | |1|1|1|1|1|
|0|1|2|3|4|5|6|7|8|9|0|1|2|3|4|
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
______________/ \______________
|            (s=7)            |
|<- Ts=26.7ms (OFDM symbol) ->|
|                             |
+-----+-----------------------+
| GI  |      Useful part      |
|(Tg) |      (Tu=21.3ms)      |
+-----+-----------------------+

ここで、ss は伝送フレームのインデックスを表し、0sNs10\leq s\leq N_\mathrm{s}-1ss は整数)で定義されます。

また、(サブ)キャリア間隔は 1/Tu1/T_\mathrm{u} で計算できます。 モードBの場合、(サブ)キャリア間隔は 46.875 Hz ですが、モードAでは約 41.667 Hz、モードCでは約 68.182 Hz となります。

練習問題1

下表の値を用いて、(1) モードA、(2) モードCにおける1スーパーフレームの構成を図示せよ。

Table 47: Numerical values of the OFDM parameters(規格2より引用)

Robustness
mode
Duration TuCarrier
spacing 1/Tu
Duradion of
guard interval
Tg
Duration of
symbol
Ts = Tu + Tg
Tg/TuNumber of
symbols per
frame Ns
A24 ms412/3 Hz2,66 ms26,66 ms1/915
B21,33 ms467/8 Hz5,33 ms26,66 ms1/415
C14,66 ms682/11 Hz5,33 ms20 ms4/1120
D9,33 ms1071/7 Hz7,33 ms16,66 ms11/1424
E2,25 ms4444/9 Hz0,25 ms2,5 ms1/940
解説

上述のように、伝送フレーム長はモードEを除き Tf=400msT_\mathrm{f}=400\mathrm{\,ms} であり、1スーパーフレームはモードEを除き3つの伝送フレームから構成されるため、1スーパーフレームの長さはモードBと同様に 1200 ms となります。

(1) モードAでは TgT_\mathrm{g}TuT_\mathrm{u} がモードBと異なりますが、Ts=Tg+TuT_\mathrm{s}=T_\mathrm{g}+T_\mathrm{u} がモードBと等しいため、Ns=Tf/TsN_\mathrm{s}=T_\mathrm{f}/T_\mathrm{s} は変わりません。

|<- 1200ms (Tx.super frame) ->|
|                             |
+-+-------+---------+---------+
|S|  MSC  :   MSC   :   MSC   |
|D|-------: ,-------: ,-------|
|C|  FAC  : |  FAC  : |  FAC  |
+-+-------+---------+---------+
__________/         \__________
|                             |
|<--- Tf=400ms (Tx.frame) --->|
|                             |
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
| | | | | | | | | | |1|1|1|1|1|
|0|1|2|3|4|5|6|7|8|9|0|1|2|3|4|
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
______________/ \______________
|            (s=7)            |
|<- Ts=26.7ms (OFDM symbol) ->|
|                             |
+--+--------------------------+
|GI|       Useful part        |
|Tg|       (Tu=24.0ms)        |
+--+--------------------------+

(2) モードCをモードBと比較すると、TuT_\mathrm{u}TgT_\mathrm{g} だけでなく TsT_\mathrm{s}NsN_\mathrm{s} も異なります。

     |<- 1200ms (Tx.super frame) ->|
     |                             |
     +--+------+---------+---------+
     |S | MSC  :   MSC   :   MSC   |
     |D |------:  ,------:  ,------|
     |C | FAC  :  | FAC  :  | FAC  |
     +--+------+---------+---------+
_______________/         \_______________
|                                       |
|<-------- Tf=400ms (Tx.frame) -------->|
|                                       |
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
| | | | | | | | | | |1|1|1|1|1|1|1|1|1|1|
|0|1|2|3|4|5|6|7|8|9|0|1|2|3|4|5|6|7|8|9|
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
__________________/ \____________________
|                (s=9)                  |
|<------ Ts=20.0ms (OFDM symbol) ------>|
|                                       |
+----------+----------------------------+
|    GI    |        Useful part         |
| (Tg=5.3) |        (Tu=14.7ms)         |
+----------+----------------------------+

※ (2)の解答例でSDCが横に長く、FACが短くなっているのは、モードA・Bが冒頭の2 OFDMシンボルでSDCを伝送するのに対して、モードC・Dは3 OFDMシンボルで伝送するので、冒頭3 OFDMシンボルにFACが存在しないことを示しています(規格の8.5.3.1、Table 64を参照)。

周波数軸で見たDRM信号

先ほどは時間軸でDRM信号を観察しましたが、今度は周波数軸で見てみます。

DRM波はOFDM変調波なので、同時刻に複数のキャリアで別々のデータを送信しています。

どのキャリアを指すのか番号で表すため、KminkKmaxK_\mathrm{min}\leq k\leq K_\mathrm{max} で定義されるキャリアのインデックス kk (整数)を用います。 ここで、k=0k=0 番目のキャリアに対応する周波数はRF信号の基準周波数 fRf_\mathrm{R} と定義されています。

使用するキャリアのインデックス番号 kk がとりうる値は、モードと帯域幅の選択(spectrum occupancy)によって決まります。

例えば、モードB・帯域幅 10 kHz の場合は以下のように定義されています。

パラメータ備考
kk の最小値 KminK_\mathrm{min}-103最も低い周波数のキャリアを示す(モードB・帯域幅 10 kHz)
kk の最大値 KmaxK_\mathrm{max}103最も高い周波数のキャリアを示す(モードB・帯域幅 10 kHz)
kk から除外する値0使用しないキャリアを示す(モードB)

この場合 kk は -103~103 から 0 を除いた計 206 値をとるので、モードB・帯域幅 10 kHz の場合、(サブ)キャリア数は206と分かります。

練習問題2

ある放送局が基準周波数 fR=3205kHzf_\mathrm{R}=3205\mathrm{\,kHz} でモードBによって放送している。モードBのサブキャリア間隔は 1/Tu=46.875Hz1/T_\mathrm{u}=46.875\mathrm{\,Hz} である。
(1) 帯域幅 10 kHz(spectrum occupancy=3)のとき、最も低いキャリアおよび最も高いキャリアの周波数を求めよ。ただし、Kmin=103K_\mathrm{min}=-103Kmax=103K_\mathrm{max}=103 である。
(2) 帯域幅 5 kHz(spectrum occupancy=1)のとき、最も低いキャリアおよび最も高いキャリアの周波数を求めよ。ただし、Kmin=1K_\mathrm{min}=1Kmax=103K_\mathrm{max}=103 である。

解説

最も低いキャリアの周波数を fminf_\mathrm{min}、最も高いキャリアの周波数を fmaxf_\mathrm{max}、(サブ)キャリア間隔を Δf=1/Tu\varDelta f=1/T_\mathrm{u} とおくと、以下のように計算できます。

(1)

fmin=KminΔf+fR=103×46.875+3205×103=3200.171875kHzfmax=KmaxΔf+fR=103×46.875+3205×103=3209.828125kHz\begin{align*} f_\mathrm{min}&=K_\mathrm{min}\varDelta f+f_\mathrm{R} \\ &=-103\times46.875+3205\times10^3 \\ &=\underline{\underline{3200.171875\mathrm{\,kHz}}} \\ f_\mathrm{max}&=K_\mathrm{max}\varDelta f+f_\mathrm{R} \\ &=103\times46.875+3205\times10^3 \\ &=\underline{\underline{3209.828125\mathrm{\,kHz}}} \end{align*}

(2)

fmin=KminΔf+fR=1×46.875+3205×103=3205.046875kHz\begin{align*} f_\mathrm{min}&=K_\mathrm{min}\varDelta f+f_\mathrm{R} \\ &=1\times46.875+3205\times10^3 \\ &=\underline{\underline{3205.046875\mathrm{\,kHz}}} \end{align*}

KmaxK_\mathrm{max} が(1)と等しいので、fmaxf_\mathrm{max} は(1)より fmax=3209.828125kHzf_\mathrm{max}=\underline{\underline{3209.828125\mathrm{\,kHz}}} です。

※ DRMでは(1)のように fRf_\mathrm{R} の上側にも下側にもキャリアを配置する設定と、(2)のように fRf_\mathrm{R} の上側にのみキャリアを配置する設定があります。 (1)のように Kmin=KmaxK_\mathrm{min}=-K_\mathrm{max} ならば fRf_\mathrm{R} は中心周波数と等しくなりますが、(2)では中心周波数と等しくならないため注意が必要です。

時間と周波数の2軸で見た伝送フレーム

セル

ここまでで説明したように、DRMでは時間(OFDMシンボル)だけでなく、周波数(キャリア)でもデータを分けて伝送しています。

このため、DRM信号は下のAAのように、OFDMシンボル ss とキャリア kk の2つのインデックスをもつ格子のように解釈することができます。 ここで、横軸は時間に、縦軸は周波数に対応しています。

DRMでは、この格子の枠一つ一つを指してセルと呼んでいます4

            +-----+-----+-((--+-----+
    Kmax    |     |     |  )) |     +
            +-----+-----+-((--+-----+
^   Kmax-1  |     |     |  )) |     +
|           +-----+-----+-((--+-----+
           ~~~~~~~~~~~~~~~~))~~~~~~~~~
k           +-----+-----+-((--+-----+
    Kmin+1  |     |     |  )) |     +
            +-----+-----+-((--+-----+
    Kmin    |     |     |  )) |     +
            +-----+-----+-((--+-----+
               0     1          Ns-1
                         s --->

それぞれのセルにどういった情報を配置するのか(=どのタイミング・どのキャリアで伝送するのか)は規格で詳細に定められています。

データ・制御・パイロット

DRMでは上述したSDC・FAC・MSCの3種類のデータを決められたセル配置に従って送信していますが、それらに加えて、周波数や時間などの目印としての役目を担うパイロットセルも決められた配置に従って送信されます。

  • パイロット信号用のセル(pilot cells)
    • Frequency references
      • 基準周波数より 750, 2250, 3000 Hz 高いサブキャリア
    • Time references
      • 各伝送フレームの最初のOFDMシンボル(s=0s=0)の一部サブキャリア
    • Gain references
      • 各OFDMシンボルの一部サブキャリア
    • AFS references(モードEのみ)
  • 制御信号用のセル(control cells)
    • FAC
    • SDC
  • データ伝送用のセル(data cells)
    • MSC

モードB・帯域幅 10 kHz の1スーパーフレームのうち、各セルの占める割合を以下の円グラフに示します5

---
config:
  pie:
    textPosition: 0.85
    legendPosition: center
    donutHole: 0.7
---
%%{init:{'theme':'default'}}%%
pie showData
    title Cells in a Tx. Super Frame
    "MSC" : 7013
    "SDC" : 322
    "FAC" : 195
    "Gain Ref." : 1557
    "Freq/Time Ref." : 183

最多はやはりデータ伝送用のセル(MSC)の73%で、次いでパイロット信号用のセルが19%、そして制御信号用のセルが6%という割合になっています。

スーパーフレームのセル構造

上の円グラフの内訳をAAで可視化してみます。 下表に示す記号によって1つのセルを1文字で表し、1スーパーフレーム全てのセルを記述します。

種類記号
MSC.
FAC/
SDC*
Frequency Reference-
Time Reference|
Frequency and Time References6+
Gain Referenceo
Unused7(半角スペース)

モードBのDRM信号の1スーパーフレームのセル構造を以下のAAで示します。

スーパーフレームの全セルAA
                     ---------> Time

      [ Tx. Frame 0 ][ Tx. Frame 1 ][ Tx. Frame 2 ]
    s           11111          11111          11111
      012345678901234012345678901234012345678901234
  k   
  103 o*.o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..
  102 **...........................................
  101 **o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o
  100 **...........................................
   99 *o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o.
   98 **...........................................
^  97 o*.o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..
|  96 **...........................................
|  95 **o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o
|  94 **...........................................
   93 *o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o.
F  92 **...........................................
r  91 o*.o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..
e  90 **...........................................
q  89 **o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o
u  88 **...........................................
e  87 *o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o.
n  86 **...........................................
c  85 o*.o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..
y  84 **...........................................
   83 **o..o..o./o..o..o..o..o./o..o..o..o..o./o..o
   82 **...........................................
   81 *o..o..o./o..o..o..o..o./o..o..o..o..o./o..o.
   80 **...........................................
   79 o*.o..o./o..o..o..o..o./o..o..o..o..o./o..o..
   78 **...........................................
   77 **o..o./o..o./o..o..o./o..o./o..o..o./o..o./o
   76 **...........................................
   75 *o..o./o..o./o..o..o./o..o./o..o..o./o..o./o.
   74 **...........................................
   73 o*.o./o..o./o..o..o./o..o./o..o..o./o..o./o..
   72 **...........................................
   71 **o./o..o./o..o..o./o..o./o..o..o./o..o./o..o
   70 **...........................................
   69 *o./o..o./o..o..o./o..o./o..o..o./o..o./o..o.
   68 |*.............|..............|..............
   67 o*/o..o./o..o..o./o..o./o..o..o./o..o./o..o..
   66 |*.............|..............|..............
   65 **o..o./o..o./o..o..o./o..o./o..o..o./o..o./o
   64 +--------------+--------------+--------------
   63 *o..o./o..o./o..o..o./o..o./o..o..o./o..o./o.
   62 |*.............|..............|..............
   61 o*.o./o..o./o..o..o./o..o./o..o..o./o..o./o..
   60 **...........................................
   59 **o./o..o./o..o..o./o..o./o..o..o./o..o./o..o
   58 **...........................................
   57 *o./o..o./o..o..o./o..o./o..o..o./o..o./o..o.
   56 |*.............|..............|..............
   55 o*/o..o./o..o..o./o..o./o..o..o./o..o./o..o..
   54 |*.............|..............|..............
   53 **o..o./o..o..o..o..o./o..o..o..o..o./o..o..o
   52 **...........................................
   51 *o..o./o..o..o..o..o./o..o..o..o..o./o..o..o.
   50 |*.............|..............|..............
   49 |*.o./o..o..o..|..o./o..o..o..|..o./o..o..o..
   48 +--------------+--------------+--------------
   47 **o./o..o..o./o..o./o..o..o./o..o./o..o..o./o
   46 **...........................................
   45 *o./o..o..o./o..o./o..o..o./o..o./o..o..o./o.
   44 |*.............|..............|..............
   43 o*/o..o..o./o..o./o..o..o./o..o./o..o..o./o..
   42 |*.............|..............|..............
   41 **o..o..o./o..o..o..o..o./o..o..o..o..o./o..o
   40 **...........................................
   39 *o..o..o./o..o..o..o..o./o..o..o..o..o./o..o.
   38 **...........................................
   37 o*.o..o./o..o..o..o..o./o..o..o..o..o./o..o..
   36 |*.............|..............|..............
   35 **o..o./o..o./o..o..o./o..o./o..o..o./o..o./o
   34 **...........................................
   33 *o..o./o..o./o..o..o./o..o./o..o..o./o..o./o.
   32 |*.............|..............|..............
   31 o*.o./o..o./o..o..o./o..o./o..o..o./o..o./o..
   30 **...........................................
   29 **o./o..o./o..o..o./o..o./o..o..o./o..o./o..o
   28 **...........................................
   27 *o./o..o./o..o..o./o..o./o..o..o./o..o./o..o.
   26 |*.............|..............|..............
   25 o*/o..o./o..o..o./o..o./o..o..o./o..o./o..o..
   24 |*.............|..............|..............
   23 **o..o./o..o./o..o..o./o..o./o..o..o./o..o./o
   22 **...........................................
   21 *o..o./o..o./o..o..o./o..o./o..o..o./o..o./o.
   20 |*.............|..............|..............
   19 o*.o./o..o./o..o..o./o..o./o..o..o./o..o./o..
   18 |*.............|..............|..............
   17 **o./o..o./o..o..o./o..o./o..o..o./o..o./o..o
   16 +--------------+--------------+--------------
   15 *o./o..o./o..o..o./o..o./o..o..o./o..o./o..o.
   14 |*.............|..............|..............
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   12 **...........................................
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  -20 **...........................................
  -21 *o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o.
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  -30 **...........................................
  -31 **o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o
  -32 **...........................................
  -33 *o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o.
  -34 **...........................................
  -35 o*.o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..
  -36 **...........................................
  -37 **o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o
  -38 **...........................................
  -39 *o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o.
  -40 **...........................................
  -41 o*.o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..
  -42 **...........................................
  -43 **o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o
  -44 **...........................................
  -45 *o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o.
  -46 **...........................................
  -47 o*.o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..
  -48 **...........................................
  -49 **o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o
  -50 **...........................................
  -51 *o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o.
  -52 **...........................................
  -53 o*.o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..
  -54 **...........................................
  -55 **o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o
  -56 **...........................................
  -57 *o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o.
  -58 **...........................................
  -59 o*.o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..
  -60 **...........................................
  -61 **o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o
  -62 **...........................................
  -63 *o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o.
  -64 **...........................................
  -65 o*.o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..
  -66 **...........................................
  -67 **o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o
  -68 **...........................................
  -69 *o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o.
  -70 **...........................................
  -71 o*.o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..
  -72 **...........................................
  -73 **o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o
  -74 **...........................................
  -75 *o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o.
  -76 **...........................................
  -77 o*.o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..
  -78 **...........................................
  -79 **o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o
  -80 **...........................................
  -81 *o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o.
  -82 **...........................................
  -83 o*.o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..
^ -84 **...........................................
| -85 **o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o
| -86 **...........................................
| -87 *o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o.
  -88 **...........................................
F -89 o*.o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..
r -90 **...........................................
e -91 **o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o
q -92 **...........................................
u -93 *o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o.
e -94 **...........................................
n -95 o*.o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..
c -96 **...........................................
y -97 **o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o
  -98 **...........................................
  -99 *o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o.
 -100 **...........................................
 -101 o*.o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..
 -102 **...........................................
 -103 **o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o..o
  k   
                11111          11111          11111
    s 012345678901234012345678901234012345678901234
      [ Tx. Frame 0 ][ Tx. Frame 1 ][ Tx. Frame 2 ]
                     ---------> Time

AAを見ると、制御セルのFACやパイロットセルのgain referenceは時間と共にキャリアが移動していることが分かります。 Gain referenceは時間や周波数によって異なる伝搬状態を測定するためのセルなので、時間・周波数の全体にわたって配置されています。

FACは復調に必要なパラメータを含んでいるため、特定のキャリアが弱く受信されるような伝搬状態でも瞬時に受信できるよう、キャリアを分散させて配置しているようです。

(参考)規格との対応
種類記号規格の該当箇所
Unused(半角スペース)Table 50
FAC/Table 63
Frequency Reference-Table 51
Time Reference|Table 53
Frequency and Time References+Table 53
Gain ReferenceoAnnex L, 8.4.4.3.0
SDC*8.5.3.1
MSC.8.6.1

おわりに

本記事では、DRM放送の信号が時間軸や周波数軸上でどのように構成されているのかを、規格に従って作成したAAで説明しました。

アナログ方式とは大きく異なり、デジタル方式の信号は音声データだけでなく、復調に必要なパラメータなどを周期的に送信していることが分かりました。

また、伝送フレーム単位で見るマクロな視点と、OFDMシンボル単位・(サブ)キャリア単位で見るミクロな視点のそれぞれでAAを描いてみて、何事もミクロとマクロの両方を押さえておることが大事だと感じました。

今回学んだ内容がいつか、「朝鮮中央第2ラジオ放送」の謎を解く第一歩になればと思います。

脚注

  1. DRM Handbook、DRM Consortium、Revision 6、2026年5月

  2. ETSI ES 201 980 V4.3.1、2023年11月 2 3

  3. GIとは、遅延波による信号の歪みへの対策としてOFDMシンボルごとに前置する時間的な保護間隔のことです。DRM標準では、GIをOFDMシンボルの末尾部分で埋めるサイクリックプレフィックスという手法が採用されています。

  4. セル(cell)について、規格では「持続時間 TsT_\mathrm{s} の正弦波の一部」としてより物理的に定義されていますが、ここでは説明の簡単のため「枠」で表現しました。

  5. 使用しない k=0k=0 番目のキャリアを除きます。「Freq/Time Ref.」はfrequency referenceとtime referenceの合計セル数ですが、frequency referenceとtime referenceを兼ねたセルは重複せず1つのセルとしてカウントしています。数値を丸めているため、各割合の合計は100%になりません。

  6. Frequency referenceとtime referenceを兼ねたセルのことです。重複して計上されるのを防ぐため、本記事ではこのように分類します。

  7. 使用しない k=0k=0 番目のキャリアのセルのことです。