消えた2局を懐かしむ ~平壌放送、統一のこだま放送~
昨日公開した備忘録「北朝鮮の対南政策転換に伴う放送上の対応について(楽曲の差し替え等を中心に)」では、三千里問題1によって変化した2024年以降の北朝鮮の放送について書きました。
金日成将軍の歌・金正日将軍の歌の歌詞の変更が明らかになったタイミングで公開できたのが良かったです。 以前より手軽に記事を書けるようになったので、サイトをリニューアルした甲斐がありました。
さて、この記事では、三千里問題に伴って長期にわたって放送を休止している平壌放送と統一のこだま放送に対する、私の思いを書いていきます。
1. 平壌放送~深夜の音楽、選局権
朝鮮中央放送は5時から翌日3時までの22時間放送ですが、平壌放送は6時から翌日5時半まで放送していました。
車載AMラジオで平壌放送をこっそり聴きながら夜の国道を走っていたというドライバーもいたのではないでしょうか。
私はかねてから朝鮮中央放送をメインで聴いていましたが、平壌放送が消えたことで、中央放送が休止中の3時から5時まで平壌放送を流しておくことができなくなりました。
また、朝鮮中央放送・朝鮮の声放送・平壌放送の3局を切り替えながら聴取し、選局権(選曲権)を享受する楽しみ方もできなくなってしまいました。
それにしても、なぜ国内向けの朝鮮中央放送よりも韓国向けの平壌放送の方が長時間放送していたのでしょう。 普通に考えれば逆にすると思うのですが……。不思議なものです。
2. 統一のこだま放送~音楽の世界
「無所属民間放送」を標榜し、韓国に向けて放送していた「統一のこだま放送」は朝昼晩、各回2時間の放送を行っていました。
ラジオNIKKEI第2と同じ3945kHzを使い混信を引き起こしていたので、困惑した短波放送リスナーも少なくないはずです。 私はこの混信がラジオNIKKEI第2の平日の放送終了時刻を早めた一因だったのではないかと思っています2。
しかし、私にとって統一のこだま放送は、中央放送や平壌放送で聴くことができない朝鮮音楽に出会うきっかけをくれるありがたい存在でもありました。
放送当日にホームページで公開されていた音楽番組の音声はモノラルではありましたが、今では三千里問題の対象である《김정은장군께 영광을》(金正恩将軍に栄光を)のスタジオ音源など、貴重な音源を入手することができました。
さらに短波放送では、番組間で流れていた音楽を通して未知の曲や音源に出会うこともありました。
これはチョンボン楽団の公演で披露されたメドレーですが、ライブ音源とは異なり拍手がないのでスタジオ音源であることが分かります。
中央放送どころか朝鮮中央テレビでも放映されない音源を蔵出ししてくれる放送がなくなってしまったことは残念です。
おわりに
今回は三千里問題に伴い放送を休止した2つの放送局について書きました。
2局の録音は公開済みのもの以外にもまだあると思うので、今後機会があればYouTubeのサブチャンネル「99mL放送資料室」に放出していきたいと思います。
私が「放送休止」と書いても「閉局」と書かないのは、わずかな復活の可能性を捨てていないからです。
またいつか戻ってきてくれると嬉しいです。
ただその際は、双方のリスナーのため、他局と同じ周波数は避けてもらいたいと思います。
「備忘録」カテゴリには、Archiveに掲載している資料と他のBlogの投稿の中間的な存在の記事を追加していく予定です。 メモ書きも兼ねて、より短いものも出していくと思います。
今後ともUdungpulをよろしくお願いします。