イランや周辺国に滞在する日本人に向けて、NHKが短波による日本語放送「NHKワールド・ラジオ日本」(NHKRJ)の中東向け臨時送信が2026年3月1日に始まりました1。
本記事では、開始初日に書いた放送メモに続いて、記事執筆時点でも続いている中東向け臨時送信の近況についてメモしていきます。
時報前の音楽が「いい日旅立ち」に変更(3月3日)
私の手元の受信記録によると、臨時送信開始以降「ラジオ日本」の短波放送では正時前に以下の情報番組が放送されています2。 「海外安全情報」の内容は外務省による危険レベルの引き上げなどに合わせて随時更新されています。
- 海外安全情報(1分)
- 海外安全情報(3分)
- 臨時送信の周波数告知(3分)
このうち3分間の「海外安全情報」または「臨時送信の周波数」はほとんどの場合、正時の5分前から放送され、続けて時報までの2分間は音楽が放送されます。
3月1日と2日の放送ではこの2分間の音楽がNash Music Libraryのピアノ曲でしたが(臨時送信初日の受信記録を参照)、3月3日に「いい日旅立ち」のインストに変更されました。
Shazamで判定した結果、このインストはコロムビア・シンフォニック・オーケストラの演奏で、放送では冒頭35秒の前奏がカットされていることが分かりました。 音源はYouTubeで聴くことができます。
郷愁を誘う編曲も相まって、強いメッセージ性を感じる絶妙な選曲だと思います。
ただ、この音楽が流れている2分間で海外安全情報や臨時送信の周波数案内を流すこともできるのにとも思います。
送信周波数一部変更(3月10日)
3月10日に一部時間帯で臨時送信の送信所と周波数が変更されました3。 これにより、八俣送信所からの24時間体制での臨時送信は終了しました。
- 変更された時間帯:10時~14時まで
- 変更前:17560kHz(八俣送信所)
- 変更後:9875kHz(フランス中継所)
3月10日から適用されているスケジュールは以下のとおりです。 通常時にも送信されている周波数を斜体で示します。
| 日本時間 (JST) | 八俣送信所 (kHz) | フランス中継所 (kHz) |
|---|---|---|
| 01:00-02:00 | 11915 | |
| 02:00-04:00 | 11670 | 11800 |
| 04:00-06:00 | 9665 | |
| 06:00-08:00 | 11675 | |
| 08:00-10:00 | 11660 | |
| 10:00-14:00 | 9875 | |
| 14:00-18:00 | 9700 | |
| 18:00-22:00 | 9740 | |
| 22:00-23:00 | 11685 | |
| 23:00-01:00 | 9450 |
臨時送信のスケジュールは「ラジオ日本」の短波放送でも随時放送されています。 短波放送を3月12日に確認したところ、当然ながら変更後のスケジュールがアナウンスされていましたが、周波数が一部変更されたことについては説明がありませんでした。
予告なく変更したのですから、一言あっても良いと思います。
2026/03/29追記:3月29日からA26スケジュールが始まり、中東向け臨時送信の周波数も変更されました。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
6150kHzについて
理由は不明ですが、変更後の臨時送信スケジュール3では定時枠(12時~14時まで)で当初から使われている6150kHz(フランス中継所)が記載されなくなりました。 周波数変更前は短波放送における臨時送信の周波数告知で6150kHzがアナウンスされていましたが、周波数変更後の3月12日に確認した周波数告知では6150kHzがアナウンスされていませんでした。 一方、中東向け臨時送信を受けて更新されたNHKワールド・ラジオ日本の放送時間・周波数表4には、6150kHzが記載されています。
6150kHzは実際のところ送信されているのか……?
日本で受信するのは難しいので、中東地域のとあるWebSDRで3月14日正午過ぎに確認してみました。 9875kHzは強力に入感した一方、6150kHzは全く聞こえませんでした。
5分前に停波する現象
八俣送信所からの臨時送信は実際には、公開されているスケジュールの5分前に突如停波することがあります。 これは臨時送信初日の3月1日から確認されている現象です。
例えば、「14時から18時まで」と公称されている9700kHzは、5分前の17時55分に停波します。
NHKのラジオ国際放送では、基本的に放送開始5分前からインターバルシグナル等を送出していますが、私はこれが5分早く停波する原因だと考えています。
つまり上の例でいえば、18時から始まる他の言語または地域向けの定時放送に送信周波数を切り替えるため、17時55分に停波するのだと思います。
NHKの短波放送に使用されているKDDI八俣送信所では、2021年時点で7台の送信機(300kW送信機5台+100kW送信機2台)が設置されていました5が、100kW送信機は2台とも2025年に廃棄され、現在は500kW送信機5台のみとなっているそうです6。 北朝鮮向け短波放送「しおかぜ」を実施している特定失踪者問題調査会によると、NHKは送信機をさらに削減する方向で動いているとのことです。
(ところで、先日のNHK予算審議でこの点を追及する議員はいたのでしょうか……?)
2026/03/15追記:3月15日に確認したところ、11660kHzは5分前ではなく10時ちょうどに停波しました。一方で、14日午後の9700kHzや15日未明の9450kHzはそれぞれ5分前に停波していました。3月10日の周波数変更で10時からの臨時送信をフランス中継所のみからとしたので、稼働する送信機に余裕ができたものと思われます。
ラジオ第1の定時ニュースでの告知
「ラジオ日本」の臨時送信についてはラジオ第1の定時ニュースで現在も告知が続いています。
「午前0時のNHKニュース」では連日、イラン情勢のニュースの直後に臨時送信についての告知が行われています7。
告知の様子はNHKラジオニュースのポッドキャストから確認できます。他の時間でも告知されているかもしれません。
ラジオ第1の定時ニュースは「ラジオ日本」の短波放送でも同時放送されているので、この告知自体も短波で送信されています。
脚注
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イラン情勢の変化にともなうNHKラジオ国際放送の「臨時送信」について、NHKホームページ、2026年3月1日 ↩
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「NHKのど自慢」を放送している日曜日の12時台など、時間帯によっては放送がないこともあります。 ↩
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NHKワールド・ラジオ日本 中東向け臨時送信 放送時刻・周波数一覧表、NHKホームページ、2026年3月14日11時閲覧 ↩ ↩2
-
NHK-WORLD JAPAN Frequency Schedule、NHKホームページ、2026年3月14日12時閲覧 ↩
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なにもかもが巨大な短波放送施設「KDDI八俣送信所」に潜入、ケータイWatch、2021年5月3日 ↩
-
「しおかぜ」二重放送が一部送信不可に【調査会NEWS4015】、特定失踪者問題調査会、2026年3月3日 ↩
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(2026/03/15更新)3月5日から12日までと、3月15日の放送で告知を確認しています。13日は国会中継、14日はNHK予算審議の放送のため、午前0時のニュースは中止されました。 ↩